お互いさまってやつさ
トーゴ共和国に滞在して2ヶ月ほど経ったとき、体に異常を感じた。その日に食べたものを全て吐いて、その場に倒れこんだ。その場に居合わせたダニエルは、すぐにバイクを出してくれて、家まで送ってくれた。途中、マルシェでバナナやパイナップルを買ってきてくれた。ダニエルは言った。
「お互いさまってやつさ。」
彼に限ったことではない。ここのひとのスタンスは、お互いさまというシンプルな人間関係のうえにある。結局、ぼくは丸2日くらい痙攣が止まらなくて、悪寒はすごいし、吐き気はするし、下痢は尋常じゃないという状況であったが、当時お世話になっていたラジオ局のディレクターをはじめ、マルシェのおばちゃん、近所の子どもたちがお見舞いに来てくれた。
そしてエウェ民族に伝わる祈り(というよりは音楽)を捧げてくれた。自分は弱い。小さい。ひとりではなにもできない。ひとりでは生きていけない。そんなことを痛感した。