朝のワンシーン

ここのひとの朝は早い。5時ぐらいには起きて、掃除をする。長さが80センチぐらいのホウキで、腰を曲げながら丁寧に掃く。シャッシャッという音で目が覚める。

おはよう、というと「よく寝れた?」とか「体調はどう?」、「今日はなにをするの?」と言葉を交わす。それは、なんでもない、いつもどおりの日常ではあるのだけれど、ひとつひとつのシーンが心地よく流れていく。

喧騒のなかで生活を営み、となりのひとが誰なのかもわからない、満員電車で眉間にシワを寄せている日常では、たとえば、アフィのような優しい笑顔にも気づかなかったりするのだろう。