ピーマンについて

石と石をすり合わせて具材を調理していく。簡単に切ったり、細かくする作業は、手のひらで包丁をうまく使ってする。ここの言葉で「ピーマン」は、唐辛子のことである。みんなが「ピーマン」というから、スーパーとかに売っている緑のピーマンを想像して食べたらエラい目に遭った。ここの「ピーマン」を調理した手で目をこすって死んだ人がいるとかいないとか。そんな「ピーマン」をすり潰してソースにするときはこうして石と石をすり合わせるのだ。

外国人の多くは、ここの料理を「単調である」とか「辛いだけで口に合わない」と言った。しかし、このすり合わせる作業のときに少しスパイスを加えてみたり、他の具材と合わせてみたりするのを彼らは知らない。よく味わうことをしない外国人は、この繊細な味のちがいに気づかない。表面だけをみて、その意味を深く考えない。神は細部に宿るというのに。