西アフリカ地域、最高級品のケンテ

首都ロメから120kmほど北上したところにパリメという町がある。そこは6年前、ぼくがラジオ局のジャーナリストとして働いていた町だ。エウェ族が大半を占めている。首都は中国の影響を大きく受けていたが、ここパリメではほとんど6年前と変わらない風景が広がっている。

 

ここで市場調査を開始した。マルシェでアフリカ布をリサーチすると、大きく3つの種類が流通していることがわかった。

①パーニュと呼ばれる、インクジェットプリントで生産されたもの。パーニュと画像検索して出てくるような、あるいは既存のアフリカ布製品はほとんどすべて、このパーニュの類で作られている。パーニュは主にオランダか中国で大量に生産され、西アフリカ諸国に卸されている。

②バティックと呼ばれる、ろうけつ染めの布。パリメにはたくさんのアーティストがいる。いわば、アートの町だ。ここのバティックアーティストが一つ一つ染め上げた布がある。パーニュよりも色のトーンは落ち着いている。

③ケンテと呼ばれる、エウェ族伝統の布。①②と違って、糸で色やデザインを描く。価格も高く、ある程度のステータスのある人でないと購入することができない。

 

③のケンテは、独特のオーラがあった。ケンテに興味を抱いたぼくは、聞き込み調査をしてその製造現場に潜入することができた。

 

ここの大将に更なる聞き込みをしたところ、ケンテにも2種類あることがわかった。ピュアのコットンでつくられたものと、ピュアでないコットンのもの。マルシェで流通しているケンテは機械で織られたものである。ピュアのコットンは繊細であるために、機械で織ることができない。従って、手で織らざるを得ない。

ピュアのコットンでつくられたケンテは、ピュアでないものに比べて、価格は5倍程度。ここの人が購入できるものではないのでマルシェには流通していないことがわかった。一部の役人か欧米のエリート層がターゲットとなる。一見さんには販売しないという。

ピュアのものと、そうでないもの。触り比べてみると、風合いもさることながら全体の柔らかさもまるで違う。西アフリカ地域、最高級品であるケンテ(kinté)。この素材を使い、京都の伝統技術と組み合わせてモノづくりをはじめることに決めた。