バイクタクシーから見る生活水準

 

西アフリカの小国・トーゴ共和国は、いわゆる「世界最貧国」として位置付けられる。個人的に、それは先進国が定めた尺度でのポジションでしかないし、いろんな価値尺度があるなかで、その意味合いも薄れつつあると思っている。しかしその世界最貧国とされる国に住まう人たちが、どれくらいの水準で生活しているかという事例は、ミクロな視点ではあるものの、全体をうつす一部であるような気がしている。そういった統計情報もないので、現地の主要産業であるバイクタクシー(ゼミジャンと呼ばれて親しまれている)の運ちゃんの単月収支を、備忘のためにも残しておこうと思った。

 

バイクタクシーは、営業するエリアによって金額の多寡はある。ここではトーゴ共和国の首都ロメから125km北上したパリメというエリアの、34歳男性の事例を挙げる。配偶者と娘3人(小学3年、2歳半、6ヶ月)、配偶者の母の6人家族だ。

 

※トーゴ共和国で流通する通貨はセーファーフラン(以下、cfa)で、だいたいcfaを5分の1した金額が日本円になる。(たとえば、10,000cfaは2,000円くらい)

 

彼の勤務時間は、朝5時から12時、15時から18時までの計10時間である。日によってバラツキはあるが、10時間働いて、7,000cfaから10,000cfaくらい稼ぐ。トーゴは乾期と雨期しかないのだが、雨が降れば、基本的に外出しないので、雨期には売上は下がる。月収は、210,000cfaから250,000cfaくらいだ。

トータルの支出は214,000cfaくらいで、その内訳は以下のとおり。

・食費75,000cfa

・電気代2,000cfa

・家賃5,000cfa(トタン屋根で8畳ほどの大きさの部屋)

・電話代6,000cfa(キオスクなどでクレジットを購入し、チャージするスタイル)

・ガソリン代66,000cfa(ガソリン1ℓ=500cfaくらい。1日2,500cfaがガソリン代に消える)

・バイクオーナーへ60,000cfa(バイクは一括購入できなければローンとなる。市場ではバイク1台320,000cfa-390,000cfaで取引されるが、ほとんどの労働者は一括購入できない。パリメでは資産家にバイクをローン購入することになればトータル700,000cfaを支払うことになる。資産家に1週間、15,000cfaを支払う。)

加えて、毎日バイクを走らせれば修理もしないといけないし、子どもが風邪になれば薬を買わなければいけないし、教材を購入していくとなると、おおよそ1ヶ月240,000cfa前後が必要となるから、とても余裕がある生活とは言えない。

 

バイクタクシーは腰への負担が大きく、また後部座席に人や荷物を乗せて神経を使いながら運転するために、肉体的にも精神的にもダメージが大きい、と彼は話す。競合他社が増えたことで運賃が下がり、ガソリンの値上げもあったので、業況は厳しくフラストレーションを抱えている印象も受けた。