とにかく、前へ。

これまで金融機関でしか働いたことがなく、デザインやファッション関係の学校にも行ったことがないぼくにとって、アパレルへの挑戦は死ぬほど難しい。

ただ動いているといいこともあって、そんなぼくを哀れに思って助けてくれる人たちが集まってくれている。どのみち、仕事は一人ではできない。たくさんの頭で考えたことを、たくさんの仲間と一緒にぶつかるほうがいいということをトーゴでの現地法人設立のときに強く思った。

 

そこで今は、わからないなりに一度モノをつくる作業を進めている。どうなるかわからない状況では、とにかくやりながら反省をして前に進む方法以外に、ぼくは知らない。エウェ族が丹精込めて織り込んだ品物に光を当てる。手作業でしか生み出さない価値が、そこにはある。そしてそれは大量生産・大量消費のモノづくりに一石を投じることにもなると思っている。

 

今日も京都の職人のもとで商談をしてきた。とても寒い日だったが、職人は冷たい水に手を突っ込んで染めを施してくれている。鼻水を垂らして、爪のあいだの染料を光らせながら職人は言った。

「おもろいもん作るで、諦めたらそこで試合終了や」

半世紀近くにわたって仕事に向き合ってきた人の言葉は、シンプルなのに勇気が出る。トライ&エラーで、とにかく前へ。