何度も、やってみる。

決してアクセスがいいとは言えない場所に、職人の工場はある。最寄り駅からバスで20分くらい乗り、15分くらい歩かなければ辿り着けない。しかしそんな場所に、ルイヴィトンやエルメスの担当者が、通訳とエージェントを引き連れて、フランス・パリから訪れる。そこでしかできない加工があるからだ。

 

大量生産・大量消費の流れもあって、テキスタイルのほとんどは、インクジェットプリントへ移行した。一度にたくさん、均質のものを。規模の経済性を発揮し、コストダウンを図る。それは市場経済の行きつく先としては必然だった。時代に翻弄された京都の染色工場の多くは、廃業を余儀なくされた。それは人々が望んだ結果でもあった。

 

いま、手染めで染色を施せる工場は激減している。昨日も職人のもとへ行って近況を聞いてきたが、先週も2軒が店を閉めたという。とくに今年の冬は厳しい。ぼくたちは、3枚1,000円のシャツで事足りるのだ。アパレル業界は必死のパッチで販促するが、ブランディングを成功させた一部にお金は集まる。これまで職人一筋でやってきた人たちにとって、「ブランディング」という言葉ほど対極にあるものもない。

 

ぼくは、職人は職人であってほしいと思う。愚直に、いいものを突き詰めてほしいと思う。時代がそうさせてくれなくても、ぼくは抗いたいと思う。出口戦略を練るのは別の人が担当し、職人は専念する。そうしようと思えば、チームをつくるしかない。ぼくは京都の職人、クリエイター、テキスタイルデザイナー、コンサル、学者の方など10人ちかくのチームメイトと話し合いを重ねている。

 

↑話し合ったことを形に落とし込む

 

モノづくりがこれほど果てしないとは思っていなかった。道のりは遠い。何度も足を運び、色を確認しながら、もう一度やってみる。そんな作業を繰り返している。