北アフリカの玄関口、ドバイ

アフリカ市場を検討する場合、同じアフリカでも、北部、東部、南部、西部で異なる要素が多いことに留意が必要となります。
中でも北アフリカは、中東の色が強いと言えます。

中東と北アフリカを纏めてMENA(Middle East and North Africa)と呼ばれています。

MENAの属する国々は下記の通り。

中東:UAE、サウジアラビア、カタール、イラン、イラク、オマーン、イエメン、ジョルダン、クエート、アフガニスタン、パキスタン、レバノン、トルコ、シリア、バーレーン、ヨルダン
北アフリカ:モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプト、スーダン、ジプチ、モーリタニア

MENAに進出している企業数は、2017年10月時点で992社が進出していて、そのうちUAEへ進出しているのが322社の様です。
※JETRO発表データ参照

「北アフリカへの進出を考える際は、まずは中東を攻めるべし」
というのはよく聴く話。
北アフリカの商人が中東から来ていることが大きな要因となっています。

中でも、「まずはUAE・ドバイから」というのが一般的な見解となっています。
今回は、そんな注目のドバイを実際に訪問した経験を基にご紹介したいと思います。

何故、「まずはドバイから」なのか

ドバイには、「Dubai Airport Free Zone(ドバイ空港自由貿易区)」の様な経済特区がいくつか設けられています。
それらの経済特区は、
・100%外資での投資、法人設立が可能(不動産、人材派遣、物流は進出不可)
※支店も設立可能
出資者は1人から可
最低資本金は1,000AED(≒272USD)と非常に安価
・自国民(UAE国民)の雇用義務無し
・外国送金規制無し

といった点で、日経企業が非常に進出しやすい環境にあります。

さらに、進出する海外企業は下記の特別優遇措置を受けられます。
・法人税100%免除(外国銀行支店、石油/ガスの探査/生産企業を除く)
・輸出入税100%免除
・個人所得税100%免除

ここまでの条件はなかなかないですよね。
進出条件としては、非常に魅力的と言えます。

加えて、ドバイはMENAへのアクセスが良く、飛行機で3時間以内でいずれの国にもアクセス出来ます。
中国・インド・ロシア・ヨーロッパ・東アフリカであれば、5時間以内。
この様な進出の容易性および地理的利点から、ドバイはMENA進出のハブとしての機能を有しています。
実際、ドバイにはMENA+中国・インド・ロシア・ヨーロッパ・東アフリカのビジネスマン(バイヤーなど)が集まってきています。

DAFには既に、1600社を超える企業が進出しており、日本からも下記の様な企業が進出しています。
・ダイソー(UAEで29店舗、販売価格は日本の2倍)
・セブン&アイ(UAEに10店舗)
・ヨックモック(日本の3倍の売価にも関わらず販売は非常に好調)
・無印良品
・シャトレーゼ
・カシオ計算機
・トヨタ、豊田通商
・横浜ゴム
・ヤマハ
・テルモ
・資生堂、など

石油関連を除く、成長基調にある主要産業は、物流、自動車、エレクトロニクス、航空機、食品・飲料、消費財、など。

人件費の目安

ドバイで事業を実施するにあたり、現地採用の際の人件費の目安についてもご紹介。
・マネージャー:60~75万円
・エンジニア:36~45万円
・セールス/マーケティングスタッフ:30~40万円
・秘書、経理・総務スタッフ:20~30万円
・その他スタッフ:15~30万円
といったレンジ感の様です。
※DAFZA(Dubai Airport Freezone Authority)資料参照

ドバイでの暮らし

・食事:普通(1食平均で500~1,000円位)
・ガソリン:安い(リッター60円位)
・家賃:高い(しかしNY・サンフランシスコやパリなどよりは安い)
例;
下限:大人2人用のアパート(ベット1つ)で、15万円/月くらい
上限:大人2人+子供3人用の高級マンション(ベット4つ)で、55万円/月くらい

ドバイのスーパー。スパイスが豊富。

ファストフードのデリバリーなどに、バイク便がよく使われています。

綺麗なショッピングモール。

極めつけに、ショッピングモールの屋上に遊園地(ジェットコースター付)。

ドバイの街並み

写真の様に、豪華で背の高い近代的なビルが立ち並んでいます。

いささか生活感は持ちづらいかも知れないですが、ドバイは治安も良く基本的に何でも手に入るので、住む分に苦労はしないと思います。
家賃を始め少しお金がかかるのと、灼熱の気候(真夏のお昼時だと摂氏45度を超える)を除けば、快適。

北アフリカおよび他中東諸国に攻めたい日系企業が拠点を構えるには、ドバイは非常に魅力的と言えます。
北アフリカ市場への参入を考える上で、ドバイの存在は欠かせないと思っています。