アフリカスタートアップのインキュベーション事業

こんにちは、室伏陽です。

 

アンドアフリカという会社を起業し、アフリカでの産業創出・雇用創出ならびに日本のビジネスに新たな成長機会を創出することをミッションに掲げ、日々活動しております。

 

今回は、アンドアフリカが現在取り組んでいること、およびその背景について書かせて頂きます。

 

現在、私は南アフリカのヨハネスブルグにいます。

 

ヨハネスブルグ、Witwatersrand(通称Wits)大学にて

 

そこでは、コワーキングスペースの設立を進めています。

このコワーキングスペースは、アフリカの起業家・スタートアップを対象にしています。

 

では、何故コワーキングスペースを、ヨハネスブルグで運営するのか?

 

このあたりを、いくつかの観点から、ご説明していきたいと思います。

 

 

II ミッション:「アフリカに外貨を稼ぎ出す新たな産業を創出する」

 

アフリカには外貨を稼ぎ出す産業が不足しています。

中古車販売事業のためにタンザニアなど東アフリカ諸国に滞在していた頃、中古車に関わるビジネス(現地ディーラーでの販売、リペアパーツ販売、整備、オンライン買取・再販、など)の「エコシステム」みたいなものが現地に出来上がっているのを目の当たりにしました。

 

しかしながら、これらの活動によって、外貨を得て投資力を高め、国力を高めていくことに繋がるのか?

 

色々な意見があるのは承知の上で私見を申し上げると、長い目で見て繋がっていかない、と思っています(もちろん、観光業や商業輸送などの恩恵が多々ありますが)。

 

この産業不足は様々な大きな課題を併発します。

 

・雇用機会の欠乏消費者の購買力の欠如産業が育つ土台の欠如

・外貨獲得機会の欠乏産業発展に向けた投資原資の欠如

 

つまり、外貨を稼ぐための産業の不足が諸悪の根源、とも言えます。

 

アフリカには、国のこれからをリードする新たな産業が必要です。

 

では、インフラ投資をし、製造業や化学工業などいわゆる”レガシーな産業”が育つのを待つしかないのでしょうか?

 

当然ながら、国の底力的な意味で、それは正しいかと思います。

しかし、アフリカにおいてそれらの産業は、既得権益を持つ一部の人々が自分たちの利権を守る方向に動かすため、育つにはかなりの時間がかかるのと、これからを担う若者にチャンスが降りて来づらいと言えます。

 

そこで、後述の「アフリカの未来は若者が創り出す」に移行します。

 

 

II アフリカの若者がアフリカの未来を創り出す

 

アフリカではご存知の通り、若者の人口が急激に増加しています。

東南アジアの人口動態と比較しても、アフリカの若年僧の増加は特筆すべき特徴が見られます。

 

そして、優秀でやる気のある若者からは「自ら事業を立ち上げ、企業からの雇用に頼らずに経済的に自立したい」とか「新しいビジネスを通じて新たな産業を創出し、雇用を生みたい」といった声が多く聞かれる様に思います。

 

アフリカのこれからの未来は間違いなく、彼らよって作られる。

 

こう確信した僕は、彼らを支援していくことが、アフリカの未来をよりよくするための(私が尽力出来る)最善策ではないか?

と思う様になりました。

 

 

II 南アのスタートアップがアツい

 

スタートアップの数、ファンディング金額共に、南アがアフリカで最も多いです。

出所:Partech Ventures

 

中でもヨハネスブルグに集まっています。

その理由としては、

 

・ヨハネスブルグ証券取引所の存在(世界17番目の取引額)

・優れた大学、学生が豊富(アフリカの大学ランキングのトップ5が南ア;ケープタウン大、ヴィッツ大、ステレンボッシュ大、クワズールナタール大、プレトリア大)

・都市部への人口集中(ハウテン都市部:約1,100万人、都市の人口集中度:全人口の65.3%

ナイロビ:約390万人、都市の人口集中度:全人口の24.8%

・(上記の結果として、アフリカの中では比較的)スタートアップのエコシステムが発達している

などが挙げられます。

 

また、南アから始め、アフリカ諸国へビジネスを拡大していく企業も多く見られます。

 

これらの背景に、素晴らしい南ア人パートナー2名との出会いも加わり、南ア、ヨハネスブルグからビジネスを始めることに。

 

しかしながら、南アだけで展開するのではなく、あくまで「南アから始める」ので有り、徐々にアフリカ全土に拠点を広げていく考えです。

 

コワーキングの2店目はケープタウンに、3点目は南ア以外の国への展開を計画しています。

 

実際問題として、(皆様ご存知の通り)上述の「産業創出」が南アよりも必要な国の方が多いです。

まずは人材・知見・ネットワークがあり、既に確固たる市場がある南アから始め、そこでの経験を基にアフリカ他国に徐々に展開していく計画です。

 

 

II 日本にも有益

 

これらの活動は、日本にはどんなメリットがあるのでしょうか?

まずは、日本の投資家や投資余力のある企業に対し、

・圧倒的な成長余力のある投資機会の提供(投資回収出来る前提)

を実現させていきます。

 

更に、

・日本企業とアフリカのスタートアップとのオープンイノベーション展開

・スタートアップ投資を起点としたアフリカ市場の開拓、シェア拡大

を実現させていきます。

 

アフリカのスタートアップへの少額投資が、日本企業にとってのアフリカへの参入オプションの1つとなる様に動いていきます。

 

まずは数例、その成功ケースを創り出すことが喫緊のミッションです。

実際、既にケニア、ガーナといった国を対象とする日本発ファンドの投資運営に携わらせて頂いています。

 

 

II アフリカのスタートアップを対象にインキュベーション事業を展開していく

 

コワーキングスペースは、実はこの「インキュベーション事業」の1つの位置づけです。

コワーキングスペースがフィジカルな要素とすれば、デジタルな要素として「オンラインマッチングプラットフォーム」を展開する計画です。

このプラットフォーム上では、アフリカのスタートアップと日本を含む先進国の投資家、アフリカまたは日本の大企業とを繋げて行く役目を果たします。

 

アフリカに関わらず、スタートアップの課題は大きく、

・ファンディング(資金調達)

・マーケティング

・ヒューマンキャピタル

3つに集約されます。

 

アフリカの場合、ここに「ビジネススキル」が加わります。

 

このマッチングプラットフォームでは、ファンディングおよびマーケティングの課題解決に寄与します。

そして、コワーキングスペースでは、アンドアフリカの起業家支援に知見を持つ人間が常駐することで、「ビジネススキル」の課題にも貢献します。

 

そして何より重要なのは、投資した先と近い距離で、事業のサポートをしていくこと。

まずは南アのコワーキングスペースに常駐し、入居した起業家・スタートアップと近い距離で、事業の立ち上がり、スケールアップまでの道のりを支援します。

 

日本の投資家や企業が投資して成功するケースをより多く創出し、アフリカ企業への投資をより盛り上げて行くのが我々の役目だと思っています。

 

 

II コワーキングスペースで、アフリカの起業家・スタートアップの事業立ち上げ・拡大を直接支援

 

コワーキングスペースには、アンドアフリカのメンバーが常に常駐し、入居者のビジネスを支援していきます。

具体的には、事業の計画段階~立ち上げを支援していきます。

 

候補地を現在選定中(今月中に決める予定)

 

アンドアフリカのメンバーは全員、大手コンサル(DeloitteAT KearnyPwC)出身かつ起業家育成の知見を有しているため、前述した「スキル」の補完・育成を行っていく考えです。

 

そして、前述のマッチングプラットフォームと連携させることで、資金調達、顧客獲得に向けたマーケティングの側面でもサポートしていく考えです。

(コワーキングスペースの店舗が拡大、またはマッチングプラットフォームが拡大したタイミングで人材紹介も視野に入れています)

 

この「ビジネススキルの補完」「ファンディング機会の紹介」は既存のコワーキングスペースとの差別化要因として位置づけています。

 

コワーキングスペースの1店目の位置は、南アの3つのキャピタルの1つ、司法府を置く「Braamfontein(ブラームフォンテイン)」を候補地に、現在物件選定を進めています。

 

Braamfonteinの様子

 

Wits大学とBraamfonteinの位置関係

 

すぐ隣に、Wits大学というアフリカでNo.2No.1はケープタウン大学)の大学が有り、そこの学生や卒業生が周辺に多く住んでいます。

 

また、アンドアフリカのメンバーの1名(ブンツ・マジャジャ)はWits大学の出身で有り、大学とのコネクションがあるため、それを活かしてコラボレーションを図っていきます(既に大学側への相談が始まっています)。

 

ブンツと私(ヨハネスブルグ、ランドバーグにて)

 

 

II 私のビジネススキル上のバックグラウンド

 

元々、YBC(山田ビジネスコンサルティング)およびDTC(デロイトトーマツコンサルティング)という2つのコンサルファームで、小規模~大企業まで幅広く、企業の買収や投資に伴うデューデリジェンス、企業価値評価(バリュエーション)、M&A後の支援をしてきました。

 

また、日本企業の新興国への進出支援も実施してきました。

 

これらの経験や知見が活かせる領域である、というのも一因になります。

 

しかしながら、前述の通り、「どの様にアフリカの課題解決に貢献出来るか?」を自分なりに考えた結果、ここにたどり着いた、というのが正確です。

 

 

II 最後に:「なんでそんなにアフリカでビジネスしたいの?」

 

私が常駐するヨハネスブルグは、正直治安が良いと言えません。

強盗も殺人件数も多く、その件数はアフリカの中でもトップクラスです。

 

そんな中に、家族も巻き込んで、借金(既に1千万円借りてます)を背負いながらリスクをとってビジネスをする。

 

しかも、正直、まあ、儲かりませんし、手間もかかります。

 

実際、チュニジアでパートナーと信じていた人間にお金を騙し取られた経験も出来ました。

 

「では、なぜ?」

 

と言う疑問は当然かと思います。

 

私自身、もし2年前の私が、数多の選択肢を提示された上で、この選択肢を選ぶか?と問われると、

 

「うーん。。」

 

となると思います。

 

しかしながら、2年前に戻ってまた自分の人生を生きたならば多分、同じ選択をするのだと思います。

同じタイミングで同じ出会いがあり、同じ経験をし、同じ意思決定をして行く。。

 

すべての人には「生き様」とか「運命」みたいなのがあるんだと思ってます。

抗えない何か、です。

 

・・話を戻しましょう。

「なんでそんなにアフリカでビジネスしたいの?」

 

これの答えは正直、全然格好良く無いのですが・・

「好き」だから

です。

 

もっと言うと、アフリカの人たち(特に若者)の考え方、生き方が好きだから、だと思います。

 

「(強烈に)より良い未来を渇望し、信じている。それでいて、(なんだかんだ)”今”も楽しんでいる」

 

みたいな感じでしょうか。

 

加えて、

「なんでも1から自分で試せるフィールドである」

という点も僕みたいな若手のビジネスマンには重要で、そこもとても気に入っています。

面倒だけど、ちゃんと自分で色々アレンジ出来る(逆に、しないと如実に結果として現れる)。

 

もちろん、論理的な面で

・人口増加

・多くの投資余地

・注目度(巷での”流行り”)

みたいな要素も当然あります。

 

が、それだけでは続けられません。

 

やはり、結局「好き」だから、です。

 

 

・・さて、かなーり長い文章となってしまいました!笑

 

が、次回からは、ヨハネスブルグでの活動や、その他アフリカでの活動について生の状況を報告していきます!

 

お楽しみに!

 

室伏@ヨハネスブルグ、ランドバーグ

 

[wdi_feed id=”1″]